工業簿記の中でも難易度が低い工程別原価計算を解いてみました。
マニュアルのような書き方になっているため、手を動かして解いてみましょう。
この通りに解くことにより、完答をすることが出来ます。
ただ単に解くだけでなく、解くための方法やメモを記事に載せています。
参考にして解いてみましょう。
(注)問題文に関しては、本文では記載していません。そのため、問題文は各自でお手元に出していただくようお願いします。
簿記2級の試験で工程別原価計算が出題されたのは、第149回目の5問目です。
今回は、その問題を解いていきます。
目次
Table of Contents
工業簿記は、勘定連絡図が大切(計算前の準備)
工業簿記の原価計算の解き方は、まず勘定連絡図と金額を書きます。(必要な部分のみは、個数も入れる)
問題文からわかる部分は全て入れましょう。
「今どの場所の計算を行っているのか?」を知るために必要です。
考え方(注意点は赤で書いているため画像の赤の部分を見てください)
・連絡図の上は、「第1工程原料費」や「第1工程加工費」という書き方ではなく、「1原」や「1加」のように2文字で分かるようにします。文字数を多く書いていると時間の無駄になるためです。5秒や10秒でも無駄を減らし効率よく解きます。
・勘定には、上段に個数→下段に金額の順に書きます。個数を書かない場合は✓を入れると良いです。
・「第1工程原料費」と「第1加工費」の月初仕掛品と当月投入の数は書かないようにします。なぜなら計算に必要がないためです。
・第1工程の仕損の数は両者負担のため書きません。
・「第2工程前工程費」の「?」の部分は、計算によってわかるため気にしなくても良いです。
・第2工程は、月初仕掛品の個数のみを入れます。第2工程は、先入先出法のため月初仕掛品の個数は必要です。
・加工費の月末仕掛品の個数に注意です。第1工程の月末仕掛品は600個ですが、進捗度は50%のため300個にします。第2工程も同じ考え方です。
これで準備は終了です。
計算をして勘定を埋めていく
準備が出来たら、次は勘定の金額を埋める作業です。問題文に従って計算をしていくと完答が出来ます。
第1工程の解き方
問題文から第1工程は、平均法です。仕損品の処分価格はなく、正常仕損は度外視法のため仕損は気にしないようにします。
計算式は、
第1工程原料費
(86,000+1,800,000)÷8,200=230(この数字の意味は考えなくてよい)
230×7,600=1,748,000(第1工程完成品)
230× 600= 138,000(第1工程月末仕掛品)
第1工程加工費
(175,000+3,380,000)÷7,900=450(この数字の意味は考えなくてよい)
450×7,600=3,420,000(第1工程完成品)
450× 300= 135,000(第1工程月末仕掛品)
です
この結果、解答欄の月末仕掛品の原料費と加工費が埋まります。
そして、第2工程前工程費の当月投入額が判明します。
(計算式)
第1工程原料費完成品+第1工程加工費完成品
1,748,000+3,420,000=5,168,000
(今回計算によって判明した部分は黒の丸を入れています)
第2工程の解き方
第2工程で注意する点は、先入先出法ということです。
先入先出法は、月初仕掛品原価を完成品原価に持っていきます。そして、当期製造費用を完成品と月末仕掛品に分けて完成です。
仕損は、問題文より「第2工程費の正常仕損費は完成品に負担すること」となっているため、計算の際も完成品に含めます。
・第2工程前工程費
当月投入の5,168,000を6,600:1,000に分けます
6,600の出し方は、
7,200(完成品)-800(月初仕掛品)+200(仕損)
です。(仕損を加えることに注意)
計算式は、
5,168,000÷7,600=680
680×6,600=4,488,000
680×1,000= 680,000(月末仕掛品)
です。
・第2工程加工費
当月投入の4,608,000を6,800:400に分けます
6,800の出し方は、
7,200(完成品)-600(月初仕掛品)+200(仕損)です。(仕損を加えることに注意)
計算式は、
4,608,000÷7,200=640
640×6,800=4,352,000
640× 400= 256,000(月末仕掛品)
です。
(今回計算によって判明した部分は黒の四角を入れています)
完成品総合原価
完成品総合原価は、第2工程前工程費と第2工程加工費の合計です。
注意点は2点
・月初仕掛品の金額を忘れない
・正常仕損品の処分価格をマイナス(問題文より)
完成品総合原価の計算式は、
416,400+4,488,000+241,600+4,352,000
-210,000=9,288,000
まとめ
今回は、工程別原価計算を解いてみました。難易度は低いため20点が取れます。無理をして覚えるのではなく、「今何をすべきか?」を常に意識して解きましょう。後は、問題文のひっかけ(今回は仕損の処理)に注意をすれば良いです。
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