決算整理で出題されることが多い「現金過不足」【決算整理1】

この記事の目的

現金過不足のパターンを理解する



試験では、第1問、第3問、第5問で見ることが多い現金過不足。仕訳を理解しないと、他の勘定科目に影響します。苦手分野にすると、第3問と第5問は、2ヶ所から3ヶ所の勘定科目の数字が合わなくなるので、得意分野にしましょう。第1問も配点が高いため、仕訳を理解しましょう。

目次



現金過不足勘定とは



現金の入出金は、頻繁にあります。そのため、現金の実際の有高と帳簿残高が一致しないことが起こります。記帳漏れが主な原因です。そのため、一時的に実際有高と帳簿残高を合わせるために使用するのが「現金過不足」勘定(仮勘定)です。



現金過不足の仕訳をするのは3通り



現金過不足の仕訳には、以下の3つの場面で行います。一つずつ確認をしていきましょう。



現金過不足が発生した時



現金の実際有高と帳簿残高が不一致と判明した場合は、帳簿残高を実際有高に合わせます。

実際有高か帳簿残高のどちらが多いかによって仕訳が変わります。



実際有高>帳簿残高の場合



帳簿残高が少ないので、帳簿の現金勘定を増やす仕訳を行います。



例題 現金の実際有高は、1,000円だったが帳簿残高は900円だった

借方金額貸方金額
現金100現金過不足100





帳簿残高の900円から100円を増やして1,000円にしました。その結果実際有高と帳簿残高が一致しました。相手勘定は、仮勘定である「現金過不足」勘定を使用します。仮勘定のため、原因が判明すれば、現金過不足勘定はなくなります。



実際有高<帳簿残高の場合



帳簿残高が多い場合は、仕訳をして帳簿の金額を減らして実際有高に合わせます。


例題 現金の実際有高は、900円だったが帳簿残高は1,000円だった



借方金額貸方金額
現金過不足100現金100




現金勘定を貸方に持ってくることにより、帳簿残高が900円となり、実際有高と合いました。相手勘定は、先ほどの例題と同じく「現金過不足」勘定を使用します。



現金過不足の原因が判明した時



現金過不足の原因が判明した場合は、仕訳をして正しく訂正しましょう。



例題

現金過不足勘定の借方1,000円は、水道光熱費の記入漏れであることが判明した。



借方金額貸方金額
水道光熱費1,000現金過不足1,000



このケースは、以前に



借方金額貸方金額
現金過不足1,000現金1,000

の仕訳が行われ、その後に理由が判明しました。



この場合は、まず「記入漏れの原因となった勘定科目を入れます。その後に相手勘定で「現金過不足」勘定を入れて完成です。



決算時に現金過不足の原因がわからなかったとき



決算までに残高が合わない原因が不明の場合は、そのまま現金過不足勘定が財務諸表に載ることになります。しかし、現金過不足勘定は仮勘定のため、財務諸表に載せることは出来ません。そのため、決算整理で仕訳をすることになります。



現金過不足勘定が、決算時に残った場合に代わりに使用する勘定が「雑損」と「雑益」です。これらの勘定科目は、原因は不明だが、「何らかの費用が発生した」「何らかの収益があった」と考えます。



現金過不足勘定が借方に残った場合(金額は問題文に指示)



借方金額貸方金額
雑損 現金過不足 



借方に残った場合は、貸方に現金過不足勘定を入れます。これで現金過不足勘定の残高は0になります。相手勘定は、費用に該当するため、「雑損」勘定です。



現金過不足勘定が貸方に残った場合(金額は問題文に指示)



借方金額貸方金額
現金過不足 雑益 



貸方に残った場合は、借方に現金過不足勘定を入れます。これで現金過不足勘定の残高は0になります。相手勘定は、収益に該当するため、「雑益」勘定です。



まとめ

現金過不足勘定は、相手科目が分かれば確実に正解になる分野です。第3問や第5問は、試算表全体を見渡しましょう。現金過不足勘定があれば、決算整理仕訳を必ず行います。その時は、問題文を丁寧に読んで点を取りましょう。

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