記事の目的
・簿記上の現金について理解する
・預金(特に当座預金)の仕訳を理解する
簿記3級の学習で最初に見る勘定科目が「現金」と「預金」。テキストには目次に現金と預金別々になっていたり、現金預金と同じ扱いになっているところがあります。今回の記事では、現金と預金を区別せず一つの記事で学習していきます。
目次
Table of Contents
「現金」といっても、簿記上は様々なものが存在する
一般的に現金といえば、「硬貨」や「紙幣」です。しかし、企業の活動においては、現金のみならず小切手や手形等を使用しているため、勘定科目も使用した物に対する科目でなければなりません。
では、現金となる物はなにかを紹介します。
簿記上の現金は他にも存在する
一般的な現金に加え、「通貨代用証券」と呼ばれるものが現金勘定になります。
通貨代用証券とは、金融機関(郵便局や銀行)に証券(現金を請求する紙券)を持っていくと現金をその場でもらえるものです。
代表例は、「他人振出小切手」「配当金領収書」「送金小切手」「普通為替証書」になります。初めて見る言葉ですが、テキストの現金の問題文には出てくることが多く、何度も問題を解くと記憶に残ります。
現金の仕訳例
例題
商品1,000円を売り上げ、代金は普通為替証書で受け取った
(借方)現金 1,000 (貸方)売上 1,000
普通為替証書は、すぐに現金化が出来るため、現金勘定で処理します。
預金は主に3種類の勘定科目がある。そのなかで「当座預金」を集中的に勉強しよう
試験では、預金の勘定は2種類または3種類です。(当座預金は確実に出題される)
問題文の中では、当座預金の増減は多いほうですが、一つずつ丁寧に計算をしていけば、確実に点を取ることが出来ます。主に試験に出やすい預金勘定を見ていきましょう。
普通預金
生活に欠かせないのがこの「普通預金」。問題文では、「現金を普通預金に預け入れた」や「普通預金から現金を引き出した」等がありますが、問題文から増減がわかります。
定期預金
普通預金よりも利息が高い預金です。試験に出題されることはほとんどなく、勘定科目が書かれていても点数に影響しないでしょう。
当座預金
預金の中でも最重要の勘定科目です。商品の売買で利用することが多く、問題文に何度も出てきます。
当座預金とは
企業や個人事業主が利用する預金のこと。無利息のため、個人が利用するメリットはありません。口座の開設には銀行の厳しい審査がありますが、開設まで行けば企業や個人事業主に対する信頼度が高いです。
手形や小切手で支払いをするために開設する口座のため、当座預金の口座があることは周囲に対しても金銭的な心配はないと思われます。
当座預金の増減
(増加)問題文に「当座預金に預け入れた」という文章があれば、当座預金の増加です。
(減少)問題文に「代金支払いのために小切手を振り出した」という文章があれば、当座預金の減少です。
小切手を振り出した時点では、当座預金から現金の減少はありません。しかし、小切手を受け取った側からすれば、「他人振出小切手」(上記の現金を参照)になります。すぐに現金化が出来るため、仕訳上は当座預金の減少です。
当座預金の仕訳例
例題
現金3,000円を当座預金に預け入れた
(借方)当座預金 3,000 (貸方)現金 3,000
当座預金に預け入れたため、当座預金勘定の増加です。現金は、当座預金に預け入れたため手元からなくなり、減少になります。
買掛金2,000の支払いのために小切手を振り出した
(借方)買掛金 2,000 (貸方)当座預金 2,000
買掛金を支払ったため、負債がなくなり借方に入れます。貸方は、自社の小切手を振り出した(問題文にはないが指示がない限り小切手は自社のもの)ため、当座預金の減少です。
まとめ
現金預金は、簿記3級レベルは仕訳さえ間違えなければ確実に点が取れます。見慣れない文章で書かれていますが、何度も問題文を解き記憶に入れておきましょう。