記事の目的
・三文法の商品売買の仕訳を理解する
簿記3級の中でも複雑な分野が「商品売買」です。企業が活動を続けるためには、利益が必要なため、毎日の取引は商品売買が多くなります。
処理が多いため、第3問や第5問の練習問題を解いたときに計算が合わないことが多いですが、一つ一つの仕訳を確実に行い、間違いを少なくしましょう。
目次
Table of Contents
商品売買の仕訳は2つの方法がある
商品の売買には「分記法」と「三文法」が存在します。分記法は、「商品」勘定と「商品販売益」勘定で行う方法です。しかし、本試験に出題されることは少ないため、この記事では省略します。
三文法とは
商品売買を「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定で処理する方法です。期中は「仕入」と「売上」勘定を使用し、決算整理で「繰越商品」勘定を加えて仕訳を行います。
仕入勘定とは
仕入勘定は、商品を仕入れた時に使用する勘定科目です。費用に分類されます。
例題
商品3,000円を仕入れ、代金は後日払いにした
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 3,000 | 買掛金 | 3,000 |
仕入時は、借方は「仕入」勘定が入ります。商品の後日払いのため、貸方は「買掛金」勘定です。
代金の支払い方法は様々なため、試験では複数の取引が出題される可能性があります。
主なものは
「代金を後日払いとした」 ・・・買掛金
「代金は手形を振り出した」 ・・・支払手形
「代金は小切手を振り出した」 ・・・当座預金
「代金は現金で支払った」 ・・・現金
文章によって使う勘定科目が変わります。出題の可能性が高いのは上記の4つです。
難しそうに感じますが、問題文に答えが書かれてあるため、しっかりと問題文を読みましょう。
売上勘定とは
売上勘定は、商品を売り上げた時に使用する勘定科目です。収益に分類されます。
例題
商品2,000を売り上げ、代金は後日受け取ることにした。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 2,000 | 売上 | 2,000 |
売上時は、貸方に「売上」勘定が入ります。商品は後日受取のため、借方は「売掛金」勘定です。
売上も仕入と同様に、様々な受取方法があるため、問題文によって勘定科目を変えましょう。主に出題されやすいのは、下記の3つです。
「代金を後日受取とした」 ・・・売掛金
「代金は約束手形を受け取った」 ・・・受取手形
「代金は現金で受け取った」 ・・・現金
返品は逆仕訳をする
商品売買で、商品を間違って販売することがあります。その場合は、仕入や売上の取り消しと考え、逆仕訳を行います。
仕入時
例題
商品1,000円を仕入れたが、100円は間違えた商品のため、返品した
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,000 | 買掛金 | 1,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 100 | 仕入 | 100 |
まずは、通常の仕入れの仕訳を行います。その後に100円分の商品が間違って送られてきたことに気づいたため、返品の仕訳を行います。
返品は、仕入の取り消しということで、貸方に仕入勘定を入れます。次に買掛金は、100円分は支払う義務がなくなったため、借方に買掛金勘定を入れます。
売上時
例題
商品1,000円を売り上げたが、100円は間違った商品を送ったため返品された。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売上 | 100 | 売掛金 | 100 |
売上時は仕入と同様に売り上げの仕訳を行います。その後に顧客から商品の間違いの指摘を受けたため、100円分が返品されました。売り上げが100円減少になったため、借方に売上勘定を入れます。
貸方は、売掛金を受け取る権利が100円減少したため、100円を貸方に入れます。
諸掛
仕入や売上には、諸掛が存在することがあります。(諸掛の有無は問題文に書かれています)
※諸掛とは
仕入時や売上時に商品の代金以外にかかる費用のこと
例 手数料 発送費用
どのケースが出題されるかは、問題文に指示がありますので、指示に従いましょう
仕入諸掛 (諸掛は当社負担)
仕入勘定に上乗せする(なぜ仕入勘定に上乗せするかは、現時点では深く考える必要はなく、「仕入勘定に上乗せする」とだけ覚えましょう)
例題
商品1,000円を掛けで仕入れ、送料300円を現金で支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,300 | 買掛金 | 1,000 |
現金 | 300 |
仕入諸掛(諸掛は先方が負担)
諸掛は、立替金勘定(問題文によって他の勘定を使う場合がある)で処理
例題
商品1,000円を掛けで仕入れ、先方負担の送料200円は立て替えた
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,000 | 買掛金 | 1,000 |
立替金 | 200 | 現金 | 200 |
売上諸掛(諸掛は当社が負担)
諸掛は、発送費勘定で処理(問題文によって勘定科目が異なる場合がある)
商品1,000円を掛けで売り上げ、送料100円は現金で支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
発送費 | 100 | 現金 | 100 |
売上諸掛(諸掛は先方が負担)
立替金勘定で処理
商品1,000円を掛けで売り上げ、先方負担の送料100円は立て替えて現金で支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
立替金 | 100 | 現金 | 100 |
まとめ
商品売買は、ケース別に様々な仕訳があります。問題文をよく読み「どの仕訳を行うか?」と常に考えると、仕訳が直ぐに出てきます。